イギリス人の生活―― ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け』

この本を読んで知らされるのは、ご隠居のイギリスに関する乏しい知識である。昔、教科書で習った「ゆりかごから墓場まで」を一歩も出ていないような気がする。 ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け』(20年6月・筑摩書房)である。 (引用開始)  プラカードに赤い絵具を塗りながらサイモンが言った。 「この国は、リッチな奴らに…
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パオロ・ジョルダーノ『コロナ時代の僕ら』

パオロ・ジョルダーノによる『コロナ時代の僕ら』(飯田亮介訳・早川書房・20年4月25日)を読んだ。  なるほど、これが西欧的知性なのか、と感心した。岩田健太郎の書き方とは違う。どちらが上か下かという問題ではない。専門も違うので、内容的なことではなく、精神の型が少なからず違うという印象だ。  パオロ・ジョルダーノ(1982-)はトリノ…
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お疲れ様 久米宏のリタイア 2020/06/09

久米宏(75)が6日放送のTBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」(土曜後1・00~)に生出演し、番組が今月いっぱいで終了することを報告した。 後輩格の荒川強啓(1946-)が昨年3月にやめて以来、大いに気になってはいたのだが、遂に久米宏もレギュラー番組を降りることになった。 『久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだっ…
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(続)『新型コロナウイルスの真実』岩田健太郎

この本を読んで後3つほど留意すべき点を指摘しておきたい。 まず、いわゆる免疫力についてである。素人的には「免疫力をつけておこう」のようなスローガンを耳にするのだけれど、岩田氏によれば〝それは違う!〟というのだ。免疫力を上げるのはワクチンだけだと宣う。 (引用開始) 「免疫力」とは病原体に対抗する力、つまり生体防御反応の強さのこ…
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『新型コロナウイルスの真実』岩田健太郎

あの岩田健太郎の本『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書)、4月20日初版の本である。 急ぎ斜め読みをした。 入りやすいところをまず紹介する。 マスク(一般仕様のいわゆるサージカルマスク)について、 「感染を起こしていない人がマスクをするのは無意味です」(P69)「病院に行くときに咳とかくしゃみをしているなら、そのときこそマス…
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「津久井やまゆり園」植松事件に思うこと

「狂人とは理性を失った人ではない。理性以外のあらゆる物を失った人である」(:チェスタトン)という有名な言葉がある。 かつて、村上龍がその小説の中で、「危機的状況にある目の前の無力な子供を救うのは、ヒューマニズムからではない。それ以前の何ものかである」という意味のことを書いていたように記憶している。ほとんど、本能的な反射運動のようなもの…
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驚嘆の『ケセン語訳聖書』山浦玄嗣

皆さんも一度くらいは耳にしたことがあるかも知れないが、『ケセン語訳聖書』である。 岩手県大船渡市の医師山浦玄嗣氏の手によるものである。 現物を読んでいないのでいささか痛し痒しだが、高橋源一郎『国民のコトバ』(13年3月・毎日新聞社)所収の「『ケセンな』ことば」を読んで、このさわりを今回紹介したいと思った。 先にケセン語訳を挙げる。…
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『二人のカリスマ』江上剛

江上剛の『二人のカリスマ』(19年9月・日経BP )を読んだ。 別名で書かれているが、言わずと知れたイトーヨーカ堂とセブン-イレブン・ジャパンの基礎を築いた伊藤雅俊と鈴木敏文を中心にスーパーマーケット、コンビニエンスストアの歴史を経済小説として描いたものである。 驚いたことに伊藤は1924年生れ、鈴木は1932年である。両者共に…
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強制するな ワンオペなのにワンチーム!

根がへそ曲がりのせいか、元々体育系ではないためか、ラグビー日本代表チームから派生した「ワンチーム」なる語は、それが一人歩きしているのは、若干居心地の悪い気分であった。日本チームの活躍にケチを付ける気はないので、誤解しないように。 そんな折り、ご隠居の〝モヤモヤ感〟を大いに解きほぐしてくれる文章に出逢った。 (引用開始) 日本企…
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『ヒトラーの正体』舛添要一―― 今年最後に買った本

毎日新聞の書評欄、年末恒例(8日)の「2019この3冊」で佐藤優推薦の『ヒトラーの正体』舛添要一 (著)(小学館・発売日:2019/08/01)を紹介する。 何だかんだ言われていても、舛添はやはり学者である。以前にも『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書)で自民党改憲案をこっぴどく批判していたが、それもかなりの出来だった。 …
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若松英輔+和合亮一『往復書簡 悲しみが言葉を紡ぐとき』

『往復書簡 悲しみが言葉を紡ぐとき』(若松英輔+和合亮一・15年11月・岩波書店)は、荒川洋治が『霧中の読書』(19年10月・みすず書房)で手厳しく批判していた往復書簡である。荒川は若松について「ほんとうはあまりものを考えない人なのではないかと思った。自分というものがない人だから見境なく書けるのだ。この時代ならではの知性の人である」と書…
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今、生きるガルブレイス『大暴落1929』その3

(ガルブレイス『大暴落1929』について・承前) 大暴落が及ぼした影響について、ガルブレイスが挙げている点を以下に引用する。第二次世界大戦に及ぼした影響という点では三番目の外国への融資が大きい。地域的にはドイツと中南米が多かった。 (引用開始) ウォール街は長年にわたり株など端役に過ぎないと言い続けてきたが、実際には主役級だっ…
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今、生きるガルブレイス『大暴落1929』その2

(ガルブレイス『大暴落1929』について・承前) あの頃(1929年)は特に未開でもなかった。それどころか、その後に起こったバブル現象のことごとくが現れていたのである。 まずはフロリダの土地騰貴であった。 (引用開始)   フロリダの気候という現実の決め手の上に、投機を誘う虚構の世界が築き上げられていった。その世界に入り込む…
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今、生きるガルブレイス『大暴落1929』

『大暴落1929』ジョン・K・ガルブレイス その1 古典的な名著であるらしい。ガルブレイスの『大暴落1929』(村井章子訳・08年9月・日経BP社)である。最初1955年に発表され、97年に新しい版が出ている。97年のまえがきから見ていこう。 (引用開始)   もしいま株価が下落に転じ、天罰の降る日を迎えるとしたら、確実に予想…
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ドーピングとオリンピック

ご隠居が一番印象に残っているのは、第24回(1988)ソウル大会である。 ベン・ジョンソンが陸上男子100メートルで金メダルを獲得した2日後に摘発されたことから極めてセンセーショナルな事件となった。 『増補改訂・オリンピック全大会』(武田薫・19年8月・朝日新聞出版)から引用する。 (引用開始)  ドーピング検査は尿検体で行…
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64東京・筆のオリンピック

NHKラジオ第一で7月末から8月初めにかけて放送された朝の番組(8:30-8:55)は「作家たちが目撃した東京オリンピック」と題して「三島由紀夫や有吉佐和子、石川達三など当代一流の作家が記した観戦記の朗読を通して“オリンピック”を感じ、読み解く」(朗読・藤本隆宏)趣旨の内容であった。 あの頃は日本総出で何やら張り切っていたらしいこ…
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消費税値上げ前に考えたこと

ご隠居が贔屓にしているビデオニュース・ドットコム「マル激トーク・オン・ディマンド 第964回(2019年9月28日)」は三木義一氏(青山学院大学学長)を迎えての「理念無きなし崩しの増税を許すな」であった。 番組HPの冒頭は以下のようだ。 (引用開始) 消費税をいよいよ二桁の大台に乗せようかというのに、メディアを見ると、キャッシ…
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鬼海弘雄対話集

先日来、気になっている写真家として鬼海弘雄(1945-)さんがいる。図書館の予約待ちで、写真集の方はなかなか順番が回ってきていないが、対話集の方が先に順番が回ってきた。以下、とりあえず、ご隠居の興味のある箇所から引用してみる。まずは、山田太一との対話から。 (引用開始) 山田 道を歩いている大半の人は、ふつうの顔をしていますが、…
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橋本治の遺作、小説『黄金夜界』

8月25日の毎日新聞「今週の本棚」で橋爪大三郎が紹介していたので、慌てて読んでみた。尾崎紅葉の『金色夜叉』にプロットを借りている。主人公の名は間貫一、ヒロインは鴫沢美也である。 以下、筋立ては橋爪の説明を借りる。括弧内は引用者の補足である。  主人公・間貫一は生後すぐ母を、小学六年で父を亡くし、父の親友鴫沢に引き取られた。その家…
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『日本社会のしくみ』雇用・教育・福祉の歴史社会学(小熊英二・講談社現代新書)

最近、『日本社会のしくみ』雇用・教育・福祉の歴史社会学(小熊英二・講談社現代新書)を買って読み始めた。 是非お薦めする。カバーにも大きく書いてあるが、「日本を支配する社会の慣習」だそうで、1/3程度読んだばかりだ。この「社会の慣習」でわたしたちは育ったというのが実感としてはよく分かる。というか分かりすぎる。 なぜか(当然にという…
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